ALKALIANGEL TYPE-II  
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ショートストーリー

それはグーデリアンが午前のトレーニングメニューを終え、シャワーをあびに行きがてら、ついでに監督さんでもつっついてくか、と開発ブースにふらりと立ち寄ったときのこと。

ハイネルはいつもどおりへんてこな制服に身をつつみ、背をしゃんとのばして、なにやら浮かないかおで、チームスタッフと話し込んでいた。
「……本社からの資金提供は、これ以上はのぞめないだろう。昨シーズンの成績があれでは、こちらも文句はいえまい」

金の話か、世知辛いなあ。
かわいそうだが、こればかりはオーナーにまかせておくしかない。

さほど気にせず、今日はどうやってちょっかいかけようかと、背後からちかづいていくと、気配を察してふりむいたハイネルが、さっと顔色をかえた。
なぜか声をおとし、うしろめたそうにスタッフにむきなおる。

「その……不足しているドリームについては、きみは気にしなくていい。」
どういうわけかスタッフもグーデリアンを盗み見ては、声をひそめる。
「しかし、ドリームのめどがつかないうちに、あの開発案を通してしまうのは早急かと」
ドリームの有無に開発を左右されているようでは、今季も勝てんよ。安心しろ、わたしが家を売ってでも回収するさ」
ふんぎりがつかないようにうなだれるスタッフを、叱咤するようにハイネルはつづけた。
「いいか、ドリームは手段にすぎない。そんなことできみたちに枷をつくりたくないんだ。ドリームについては、すべてわたしに一任してくれればいい」

どういう会話だ。金の話じゃなかったのか。

「あのさ、盛り上がってるとこわるいんだけど」
「なんだグーデリアン。休憩時間だからといって、あまりここをうろつくんじゃない」
開口一番邪険にされた。が、慣れているので、単刀直入にきいてみる。
「なんなのドリームって。資金の話じゃなかったの」
瞬間、ハイネルはオーディションでプリマからはずされたベテランバレリーナのような顔であとじさったが、コホンとよわよわしく咳払いして、スタッフと顔を見合わせた。
「バレてしまったらしようがないが、こどものまえで金の話はしない主義なんだ」
「はぁ?」。
「だから、金のことはやんわりと、ドリームと言い換えている。おとななりの配慮だ。おまえも聞かないふりくらいしろ」
夢?
うちは夢のないチームなのか?
なんだか身も蓋もない。

いやそのまえに。

「おい、こどもってだれだ?」
肩をつかんでつめよっても、ハイネルはただうざったそうにふりはらい、手にした書類に目をおとす。
「いいからあっちにいってろ」
「おいハイネル、」
なおも追及しようとすると、ハイネルは制服のポケットに手をつっこみ、中でなにかをさぐりはじめた。
「これをやるからあっちでおとなしくあそんでなさい」
ざらざらっ、とセロファンにつつまれた色とりどりのキャンディーを、反射的にさしだしたてのひらにのせられる。
やけに重そうだとおもってたらそんなものがはいってたのか、魔法のポケット。
「いい子にしてるんだぞ」
ポン、とあたまをなでられる。
「あのなあハイネル、」
「なんだ、それだけじゃたりないか?しかたないな」
ハイネルはやれやれといったふうに、そのへんをとおりかかったクルーをよびとめ、グーデリアンをゆびさした。
「これとあそんでやってくれないか」
「なんだジャッキー、また監督の邪魔してるのか?しょうがないやつだなぁ」
ここはこどものいる場所じゃないからな、とうでをとられ、ずるずるとひきずられる。
「ついでに風呂にいれてやってくれ」
「わかりました」
風呂。こんなおっさんと。冗談じゃない。
「それだけはせめてリサちゃんにたのんでッッ」
とおるはずのない要求を、でもとりあえず口に出してみると、
「リサ、すまないがこれを風呂にいれてやってくれないか」
あっさり承諾された。
「はーい」
スタッフウェアを着たリサが、パーティションのむこうからいきおいよくとびだしてくる。
「いきましょグーデリアンさん。しっかりキレイにしてあげるからねv」
あまやかしすぎですよ監督、というクルーに、そうかな、と ハイネルは首をかしげている。
親バカか。
「ジャッキー、監督がプレイルームにあたらしいジャングルジムをつくってくださったから、 風呂からあがったらそっちであそんでていいぞ」
「いらねーよ!」
「グーデリアンさん、シャンプーのフレイバーはバナナとイチゴどっちがいい〜?」
「あのね、 リサちゃん、じぶんで洗えるからね……」
ただ、若い女の子とおフロにはいれるのは非常に役得なので、わけがわからないなりにおとなしくつれていかれていると、
「ああ、グーデリアン、わすれものだ」
ハイネルがなにかを投げてよこした。
「ガー子。 しっかりあそんでもらえよ」
グーデリアンは、もうなにもいわず、キャンディーとアヒルのおもちゃをしっかりかかえてバスルームへと連行される。
背後ではハイネルがまだ、ドリームについて熱く語っているのだった。

そんなこんなで、シュトルムツェンダーはドライバーにかなり過保護なチームだというお話。

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